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『かわいそうだね?』 綿矢りさ

kage

2012/12/22 (Sat)

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 綿矢りさっぽい作品。恋愛ベタで優柔不断な男に振り回される女性主人公の話は、これまでの作品でありがちでしたが、今回は最後に胸がすっとする結末が待ってました。
“かわいそう”なのは誰なのか。

 あらすじと感想です、ネタばれ注意。

 百貨店勤務の女性主人公は、ある日彼氏から「元カノを自分のアパートに居候させることを許してほしい」と言われ、納得いかず喧嘩になります。元カノは失業中でお金もなく住む家もなくてかわいそうだから、自分の部屋においてやりたいと彼は言うのです。
 その時点で私なら「さようなら」なんだけど、この主人公は彼を愛するあまり仕方なく折れることにしたのです。彼の言う「愛しているのはお前だけ。元カノへの恋愛感情はない」の言葉を信じて同居を許し、この状態のまま付き合いを続けるのですね。
 はぁ?ありえない。彼氏のお人よしにも程がある。…と、私と同じく一応主人公の女の子も思うのだけれど、その後も変わらずデートを繰り返す二人なのです。彼女は平常心を保とうと自分の心の中でもがくわけですよ。そりゃそうですよ。彼氏は毎日別の女のいる部屋へと帰っていくのですから。
 その元カノというのは、やぼったくて地味な見た目。無頓着で大ざっぱ。女の色気もなく、仕事もお金もない。華やかな自分と比べみじめな元カノに同情した主人公は、哀れに思い同居を黙認するのだけど、それはつまり「私は本物の恋人。あなたは同情されているだけ。かわいそうな人」といった、言わば優越感を抱いて見下していると同じ意味。彼氏はクリスマスも誕生日も自分と過ごしているのだし。
 でも、そう思わないとやっていられません。そんな男を優しすぎると見るのか。ただの配慮不足のデリカシーない病と見るのか。その判断ができない時点で主人公に余裕がないのですね。
 
 そんな時、彼氏の携帯をのぞき見てびっくり。そこには元カノからの膨大な量のラブラブメールが。彼氏はクリスマスも誕生日も二人の女の間を行ったりきたりしていたのです。
 白黒つけようと、主人公は元カノがいる彼氏のアパートに乗り込むのです。そこで見たのは、元カノの趣味の悪い荷物が散らかり、過激な下着が部屋干しされている、無残に変わってしまった彼の部屋のありさま。
 もうブチ切れました!部屋で大暴れ!しかし強かな元カノは冷静な反応。元カノは仕事を探して部屋を出て行く気などない、弱い女のフリをして虎視眈々と彼氏を奪い取ろうとする、性悪女だったのです。やっと気づいた主人公。修羅場へ突入ですよ。

 結局、元カノ自身は自分のことを“かわいそう”だとは思っていない。
「困っている人」と「かわいそうな人」とは違うのだと綿矢は書いています。かわいそうとは憐れみの言葉。かわいそうな人などいないのだと。
 修羅場を目の前にしても、「愛しているのは君だけ。元カノとは友達」をまだ言ってのける彼氏の無神経ぶりには、飽きれるしかありません。その愛している彼女を悲しませ、もう一人の女も不幸にしている。そこに気づかないダメ男はいつまでもダメ男。一生やっとれ!
 もっと早く暴れてやればよかったのに。きっと主人公にはもっといい男が似合うし、アホ彼氏と元カノのバカップルのほうが釣り合うんじゃない?

 あぁ、何なんだ、このスカっとした痛快さ。たぶん綿矢りさ作品にしては珍しい結末だからかな。主人公の品性変わっとるやん。関西弁になっとるやん。

 堂々とした失恋を選んだ主人公に幸あれ。

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Posted at 15:51:44 2013/06/28 by 藍色

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