魔人探偵脳噛ネウロ18~19巻 あらすじ&感想

 ネウロの正体を知ったとは言え、完全には信用できない心中の笹塚。ひとまずは「味方」という認識をもって、その場を去った。
 警察がテラの人間としての素性を調査するあいだ、ネウロは回復アイテムのストールを巻いて事務所で治癒に専念するのだった。
 同じ頃、吾代は昔のなじみの気弱な少年と酒場で偶然会うが、彼は以前と違い、毒で簡単に人を殺せる人格に変わっていた。その少年もテロ集団『新しい血族』の一味。名前はヴァイジャア
 ネウロがストールを巻いている間は身動き出来ない。そのため、ネウロは吾代と弥子に少年のこれまでの足取りを調べさせた。
 二人はヴァイジャアが過去に会ったとされる人物に会うため目的地に移動中、テラが過去に関わった人物を調査中の笹塚と鉢合わせ。笹塚が面会しようとした人物と、同一人物に行き当たったのだ。その重要参考人とは、本城だった。
 本城の滞在するホテルで笹塚、吾代、弥子が事情聴取をしようとした時、葛西とヴァイジャアが現れ弥子たちを襲う。携帯電話でのネウロの指示で、証言者である本城を守ることを優先し、命からがらの脱出で逃げ切った。
 笹塚たちが知りたがっている過去の情報は、日記に記し森に埋めてあると言う本城の証言で、笹塚たち一行は本城の案内で森へと急ぐ。だが資料探しにぐずついているうちに、敵に追いつかれ窮地に陥る。ヴァイジャアの植物を操る能力には勝ち目はなく絶体絶命の危機。しかしながらネウロが携帯で次々と作戦の指示を飛ばし、ヴァイジャアにダメージを与えることに成功。任務続行不可能と判断したヴァイジャアは自害した。

 激闘のあと、森に埋めた資料を探そうとするが、本城は場所がわからないと言う。だがネウロの知恵で在り処を見つけ出す。資料は暗号化されていたが、またしても本城は読み方を忘れたと言う。これもまたネウロが簡単に読み解いた。
 その資料には、『6年前、不動産業をしていたテラに自宅を売却した。』とあった。その跡地に出来たのは大手の製薬会社。おそらくその会社は『新しい血族』の巣窟になっている。ネウロは笹塚たち警察に、この会社を強制捜査するように言いつける。

 事務所の椅子で回復に専念してから10日。ネウロは動けるほどに戻ってはいたが、魔力の回復具合は3割程度。体がなまったのでスポーツジムにリハビリに行きたいと言い、嫌がる弥子を無理やり連れて行く。ところがネウロの本当の目的はトレーニングマシンを使って弥子をのびのび虐待すること。そしてさらに事件に巻き込まれた弥子を救って謎も喰えた。
 さあ、ネウロの活動再開だ。

 ネウロと弥子はヴァイジャアとの戦いで重症を負って入院している吾代のお見舞いに行く。そこで笹塚と合流。近々警察は敵の重要拠点と思われる製薬会社の強制捜査を行うという。だが、笹塚は体調不良のため戦線離脱。病室を出て行く笹塚の姿に、弥子はどこか違和感を感じていた。
 強制捜査の日、警察が突入する一方で、ネウロと弥子は警察とは別行動で会社内部へ侵入。そこで待ち受けるのは『五本指』のひとりジェニュイン。舞台で観客を魅了する元女優のジェニュインが支配するのは「空気」。群集を思うままに支配し操る能力がある。ネウロを調教してみせると言うジェニュインだが、ドSにかけてはネウロの方が上。ジェニュインはすべての権利を没収され手も足も出ない。
 ネウロの戦術は、頭に魔力を直接注入し、人の心を折り敗北させるやり口。ネウロに頭を触られたジェニュインは「シックス」への忠誠心を奪われ屈服させられた。魔力を消費することなく、ネウロはジェニュインの奴隷化に成功した。





 ホテルで葛西とヴァイジャアに攻撃されたとき、笹塚は弥子に訊きます。「ネウロはいつも危険を承知で女の子にこんなことさせるのか。ならば、新しい血族と大差ない」と。でも弥子は確信を持った表情で答えます。「ネウロは人間を捨て石にして殺したりは絶対にしない。必ず開ける道を用意している。そこが新しい血族との違い」だと。その通りです。森の中で吾代たちが襲われたときも、「全身全霊に注意を払え。我が輩と違って貴様らは簡単に死ぬのだ」ドSな言い方だけど、あのネウロが弱い人間を気遣っています。ネウロの与えた策で結局全員無事だったわけだし。ネウロは弥子だけでなく人間を必ず守ってくれる。
 この巻での伏線箇所は、弥子が感じた笹塚の違和感と、本城の態度。そして吾代が言った「新しい血族なんて本当に存在するのかよ」です。

 それにしてもジェニュインの無駄なエロさは何なんだ。ネウロが唇を撫でたり首を抱えただけでエロく見えてしまう。弥子への日常的なスキンシップはエロくも何ともないのに。スポーツジムの弥子の水着姿に喜ぶ読者は何人いることやら。まぁ私はネウロのノースリーブのジャージ姿は大好きですけどね。ストールを巻いていたときの私服も似合ってました。髪の毛を束ねたほうがかっこいいと思います。
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いやいやそれよりも、超人的な体力のネウロには人間レベルのトレーニングマシンでは物足りないでしょうよ。指でバーベル回してますから。弥子が犯人に捕まったときも、弥子の監視役の魔界虫は完全に怠けてましたし。何しに来たんだ。やつら悪ふざけしに来てますね。でもここで喰った謎が、後で思えば地上での最後の食事になっていたのです。そう思えば来て正解…。いやもっと他になかったの?ネウロさん腹ペコよ、きっと。

 この作品が全体的にうまくまとまっていると思えるのは、読者が疑問に思う点を何気につじつま合わせをしてあるところです。
 まずは、ネウロが謎の気配を感知できるのなら、なぜ殺人事件が起きる可能性があると伝えに行かないのか。これは6巻でネウロが解説しています。「もし犯人がその場にいたとしても殺人を後日に延ばすだけ。悪意は簡単に消せない」と。ですよね。難解なトリックを実行しようとする人間なら、女子高生が止めにきたところで悪意は消えないでしょう。
 それと、ネウロはいつも探偵事務所にいるのだから、敵はネウロをおびき寄せなくても事務所を攻撃すればいいじゃないか、という点。これも18巻で敵が言っています。「攻撃して逃げられ潜伏されるのを避けているから。決まった住所があるほうが監視しやすい」だそうです。確かに事務所に攻め込んでもネウロトラップにかかるのは目に見えてます。
 あと、回復アイテムを持っているなら、最初からこの道具をつけてじっとしていればいいじゃないか。と弥子と同じく、私も思ったのですが、ネウロは言います。「貴様は点滴だけの病院生活で満たされるのか。我が輩の目的は究極の謎を食うことなのだ」ネウロの体を心配すれば、回復アイテムで魔力を補充するのも手かもしれません。でも人間がおいしいものを求めて、遠くのお店にわざわざ出かけて行列してでも食べたいと思うのと同じ。ネウロだって弱体してでも美味で新鮮な謎を喰いに行きたい。だからこそ地上にやってきた。まさに究極の食いしん坊。
 ネウロの最終目標が究極の謎を喰うことならば、弥子の目標は「力が弱ってきたネウロの理不尽な命令に意地でも付き合ってやること」だそうです。けなげだね。
 弥子はネウロの体を気遣っていても口に出しては言いません。対等な立場でいたいという思いからでしょうか。あやつり人形だった弥子が積極的にネウロに協力し力になろうとする兆しが見えてきたのは明らかです。
 物語はいよいよ佳境へと入ります。

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