魔人探偵脳噛ネウロ15~17巻 あらすじ&感想

 シックスが現れてから一ヶ月余、弥子の恐怖と不安は消えることはない。ネウロもまた、いずれ必ず訪れる魔力の大量消費前に、より多くの謎喰いをしようと焦りを見せるのだった。
 そのころシックスはⅩの記憶から得た情報を元に、ネウロの弱点を握り、自らの制勝を確信していた。
 ネウロの弱点とは『魔力が極限まで枯渇すれば、戦闘力、耐久力も加速度的に低下する』こと。シックスの忠実なる部下『五本指』を一人ずつ刺客としてネウロの元へ向かわせ、これを繰り返すことで人間並みに弱ったところを潰すのが、シックスの企みだ。

 一方、弥子は河原で、四階建てのダンボールハウスを作り、そこで暮らす奇妙なおじさんと出会う。ホームレスと言いながらも裕福な暮らしぶりのおじさんと意気投合した弥子だが、彼がその後の事件に大きな影響を与える人物だとは、今はまだ分からずにいた。
 この後、ネウロに呼び出されて事務所へ行くと、ネウロは怪訝な表情。「2日前にはあった謎が消えかけている」と言うのだ。
 そのとき、テレビ画面にセレブの集まるイベント会場で、燃え盛る車がビルに突っ込み、巨大な「6」の炎の文字が描かれた映像が映し出された。これはシックスからの挑戦状。
 まもなく大量殺人が起こる。ネウロは頭脳をフル回転させテロ現場を突き止め、ビルを飛び越え急行すると、そこにいたのは血族の一人DR。DRは堤防を爆破し、台風直撃の大雨を利用して大洪水を起こした。都会の真ん中で多くの人間や建物が濁流に流されていく。人間の死は謎の消失を意味している。目の前でエサ場が荒らされ呆然とするネウロに、DRはⅩの強化細胞を移植した腕で攻撃してくる。
 しかし、魔人の怒りは頂点へ。まずは魔界能力で堤防を修復し、そしてついに本気になった魔人の凄まじい暴虐の嵐。息も絶え絶えのDRは濁流に流されていった。すぐさま『五本指』のひとり葛西に川から拾われるが、シックスの命令でその場で殺されたのだった。
 魔力の大量使用で体力を消耗したネウロは、事務所に戻って弥子に腹いせの虐待をする余力もなくダウン。自然治癒しながら眠ってしまった。
 多くの人間の死やネウロの弱体を目の当たりにした弥子は、だたやるせ無く、涙を流すしかないのだった。

 一夜明け、洪水の排水ができず、街は大きな湖になっていた。早く排水しないと救助隊も入れない。そこに現れたのが河原で会ったおじさん。彼は複雑な計算式から排水箇所を割り出し、一気に水を海に流してみせた。自衛隊からも一目置かれるそのおじさんの名前を聞いた弥子は、予期せぬ驚きに言葉を失った。
 おじさんの名は本城二三男。HAL事件で春川教授が犯行に至る要因となった本城刹那の父親だったのだ。「刹那の死因は病気ではない」「その元凶を憎んでも憎みきれん」と、娘を死に追いやった犯人を知っている様子。その言葉は弥子に疑念を抱かせるのだった。

 そして、さらに次なる刺客テラがネウロの前に現れる。同時に球場に描かれた「6」の炎文字。再びシックスは挑戦状をよこした。
 テラはネウロをテロ現場に誘い、高層マンションを倒壊させたり、1,000人の人質を地面に埋めたりしてネウロを挑発する。ネウロは多くの人間を守るため、魔界能力でビルの倒壊を防ぐが、大量の魔力を使い果たし衰弱してしまう。そこでネウロは充電池の髪飾りを噛み砕き、エネルギーを充てんし、反撃開始。
 ネウロには奥の手があった。それは人間と協力すること。
 ネウロは魔界虫を使い伝令し、側で戦いのありさまを盗み見ていた笹塚に加勢を求めた。二人が組むことで形勢逆転。警察にも顔がばれ後がないと悟ったテラは、用意していた自爆装置で自殺。
 ネウロが正体を隠しながら、この先一人で戦い抜くのは無謀とも言える。そのためネウロは信用の置ける笹塚に魔人であることをばらし、警察を味方につけることで、より勝算をアップさせる戦略を実行したのだ。





「久々だねー、昼間からネウロと謎探しに行くの」「さて、謎はこの食堂の中だ」「うん、入ろっか」
何、この会話。デートですか。
 15巻はギャグ要素が多い巻でしたが、16巻の目を覆いたくなるような虐殺の連続。幸せに生きるため犯罪を犯そうとする人、幸せそうな家族。謎を作る人も作らない人も、容赦なく濁流に流されていく絵は、震災の後で見るといっそう悲しく辛くなります。絶対許すまい。悪しきシックス。
 人間の私と同じ感情がネウロにもあったのか、あるいは、ただ食糧が荒らされたことへの恨みなのか。ここでは後者として描かれています。
 しかし二本目の『五本指』テラとの対決のとき、敵が言います。「人間は百億近くいる。目の前の千人を、いつか謎を作るかもしれないというあやふやな理由で助けるために、力を使い果たす。ネウロの欠点は人間を見捨てられないことだ」と。確かにその通りです。ただ謎を食うために地上に来たのなら、殺されそうな人間は見捨てて、犯罪者の多い場所へ行けばいいのです。でもそれができないのがネウロ。目の前に謎がなくても、人間を助けてしまう。ネウロ自身も気づいていないようですが、長く弥子と一緒にいて育った感情ではないでしょうか。『人情』というやつです。
 
 16巻のDR虐待シーンは、ドS男好きの私のお気に入りです。一週分すべて使っての暴挙の数々。これでこそネウロです。
 今年は雨が多かった。だからダムが危険水位になり放水する、という設定のために、これまでの話の流れで、雨のシーンを何度か取り入れていた作者さんの準備には感心します。突然雨の日を書いて、「今年は雨が多い」としたら不自然ですからね。
 それと、作者さんが「漫画で書いたことが実際に起こる」と言っていましたが、まさか水に浸かった多くの建物や大勢の死者、これが現実になってしまうとは。考えると怖い。この作者さん予言者ですか。
 また、16巻でシックスが「人間の脳は一度折れ目が付いたら、どう伸ばしても消えない」と言っています。これはあとでネウロと考え方の違いとして使われます。ここは伏線ですね。
 テラとの戦いで、テラが過去を回想して話すときに出た『箱』という言葉に、ネウロは反応しています。作中で箱はよく出てくるので、私は特にピンとこなかったのですが、このときネウロは重大なことに気づきました。これが判明するのは20巻です。これも伏線。

 バレンタイン大作戦編で、ネウロがチョコに仕込んだ毒は3個。当たった人は2人。
すべて配ったのか?と聞くネウロに、弥子がさりげなく渡すチョコ。ここも好きな場面です。アホな私は「で? 結局、もう一つの毒チョコどこいった?」と、理解できていませんでした……。
 なんやかんやで仲のいい二人。いいコンビです。

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