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魔人探偵脳噛ネウロ6~8巻 あらすじ&感想

kage

2012/09/18 (Tue)

 『噛み切り美容師』と呼ばれる殺人犯の捜査に行きたいという弥子。しかしネウロは謎の有無がはっきりしない事件には手を出さないと言う。その代わり弥子とあかねちゃんだけで犯人に接近してオトリ捜査をしろと言う。弥子は犯人と思われる人物に近づくが、簡単に捕らわれてしまう。だがすぐにネウロがアリバイトリックの解明をし弥子を救出。ネウロは弥子の働きぶりに「期待はずれだ、弥子よ。貴様の日付けはいつになったら変わるのだ」と暴言を吐いて去っていく。弥子はその言葉にショックを受ける。「私にネウロが必要とする力があるのだろうか」と。
 落ち込む弥子は刑務所のアヤに面会に行く。アヤは弥子に「近い将来、彼はあなたの力を真に必要とするはず」とアドバイス。

 元気を取り戻した弥子とネウロのもとへ「Ⅹ」からの犯行予告状が届く。
「Ⅹ」とは、誰にでも変身できる細胞を持つために、本当の自分の正体がわからなくなったという少年。自分の正体を探すために殺した他人の細胞を透明な箱に詰め、『赤い箱』を現場に残し逃げ去る狂気的な殺人者だ。異形のネウロの細胞を観察することで、自分の正体を知るヒントになるという理由でネウロの命を付け狙う。
 ネウロと弥子が、犯行予告現場である芸術家の屋敷に行くと、怪しげな家族がいた。そして、この家の主人が一年前に死んだ事件も謎が隠されているとして、ネウロは興味を持つ。
 その夜、屋敷で次なる死亡事故が起こる。ネウロが殺人トリックを暴いたその時、謎を喰う瞬間の隙を狙って「Ⅹ」が姿を現す。「Ⅹ」はショットガンでネウロを奇襲攻撃。いつもなら無傷のはずのネウロが重症なことに弥子は驚く。警察が突入するまで時間を稼ごうと、弥子は恐る恐る「Ⅹ」に話しかける。すると「Ⅹ」は芸術家家族の隠された愛情について語りだす。弥子は「Ⅹ」の意外な人間らしさを知る。
 場所を変えたネウロと「Ⅹ」の対決現場で、ネウロは「我が輩の体は人間に近づいている」と告白。失望する「Ⅹ」だが、ネウロの圧倒的強さの前にまるで歯が立たない。とりあえずネウロからのきついお仕置きを受け退散。
 
 数日後、二人は連続放火事件を調べていた。火災現場にいた3人の容疑者の中からネウロの推理で犯人を見破った。しかし、その犯人はなぜ放火したくなったか理由がわからないと言い出した。刑事篚口がこの犯罪者は『電子ドラッグ』中毒だと言う。パソコン画面を見た者から、深層意識にある犯罪願望を引き出す犯罪者制作プログラムが、何者かにより作られた可能性があるのだと。ネウロはパソコンの中に潜む謎に興味をそそられる。
 その頃、温泉で出会った春川教授が、自分の脳細胞をトレースして作った電人HALを完成させていた。電人HALは、パソコンの中で生きる人工知能でありながら、春川に無断で電子ドラッグをばら撒き犯罪者を蔓延させ、武器の密輸を行うなどの犯罪を実行していた。それに気づき制止しようとする春川だが、HAL がドラッグで操った学生たちによって殺されてしまう。
 そんな時、早坂兄弟が「以前、武器密輸した相手は名門大学の学生だった」と吾代に助言してきた。その大学こそ春川教授のいる大学。ネウロと弥子は春川に会いに行くが、誰も行方がわからないと言い、さらにドラッグに犯された学生に襲われる。余裕でかわしたネウロは学生たちを挑発してその場を去るが、世間では電子ドラッグ汚染が広がり始めていた。
ネウロは謎を食うためパソコン内部に侵入するが、妨害プログラムによって攻撃され、謎までたどり着けないでいた。



 この頃からネウロは魔力の消耗を危惧している節があります。弥子救出のために魔力を使うことすら惜しがるなんて。ましてや戦闘能力の無い弥子だけで危険な場所へ行かせるなんて。酷すぎやしませんか。けれど、ネウロもちゃんと準備しています。ネウロの側にいる魔界虫。その使用法は弥子誘拐編で明らかになりますが、ちゃんと弥子を監視しているのですね。
 
 今回も小ネタ&伏線があちこちに。
まずは大学講義中に春川が言った言葉。これがかなり重要なのですが、普通はさらりと読み流してしまうので気づくわけが無い。このヒントで気づいた弥子もすごい。温泉編での春川は電車の中や旅館で伏線らしき事を言っていました。もちろんこの時点では春川の計画は誰にも分からないのですから、あとで読み返して初めて意味が分かるという作者が用意した布石だったとは。
また、探偵事務所の向かいの、建築中のビル。このビルは完成後もたびたび使われています。デザインにも意味を持たせている。ただの背景でさえのちに利用するという手の懲りよう。『全体でひとつの作品』と作家さんが言われるポイントは、こういう連続した細かい設定なんだろうなと感心してしまう。
 そして、最後の自分像編でのⅩが化けているのが笹塚だと思わせる演出もさすがだと思いました。Ⅹが登場する直前のコマまで読者を笹塚に集中させておいて、ページをめくると「ええーっ」というテクニックは見事です。
 この作家さんはページをめくると犯人が豹変するってパターンをよく使うのだけど、その逆を狙ったのが、HAL編でネウロが大学の研究生たちと話をするとき。一人がごそごそしているのでページをめくると!…と思わせておいて何もない。これを二度繰り返し、次は別の人が何か言いかけてページをめくると!…あーやっぱりか!の3段落ちのフェイント攻撃にはやられました。
 それと、発見して嬉しかった小ネタは、「忠実うらぎりくん」がコンビニバイト中の吾代の持つジャンプと放火魔の持つ漫画にいたこと。こいつこんなに前から登場していたのね!

 弱体化して人間に近づくというネウロは、自分の正体がわからないというⅩに「向上の姿勢こそ人間である証拠」と答えてあげています。この作品のテーマは『人間の進化』。このあたりから人間の可能性について考えさせられる内容になっていきます。人間とは程遠いと思われた二人(ネウロとⅩ)が見せた人間らしさに触れ、弥子はどう進化していくのか。
 そこに注目して読むとよりいっそう世界観も広がります。
 いよいよ次は、ネウロファン絶賛のHAL編へと入ります。

(1~5巻は前頁にあります)
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