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『BLACK』 山田悠介

kage

2012/04/27 (Fri)

ブラック

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4話からなる短編集のようで、実はつながったおはなし。
それぞれ主人公は違います。
1話目は、事故で体が不自由になった野球少年と、引退間近の中年野球選手の交流のおはなし。2話目は不治の病気のため親から捨てられ、南の島に隔離された子どもたちと、彼らに寄付する謎の人物のおはなし。3話目は、都会のカラスが、毎日えさをくれる病気の少女に恩返ししようと計画実行するおはなし。4話目は……。

無礼を承知で辛口感想を書かせていただきます。
1話目を読み終わって、もうこの本、読むのやめようかと思いました。「中学生日記」にあるような、ありがちで古臭いベタな設定で、ふたりの会話もありきたりで捻りがない。話の展開も安易に予想できた。これのどこがいいか、さっぱり分からない。次の2話目3話目も同じようなもん。
けれども、4話目で急展開。これまでの3つのおはなしは、言わば前フリ。4話目がメインだったのですね。はじめのつまらないお話しは、ここにつながっていくためだったと言うわけですか。そういうことなら、納得です。

しかし、おススメ度は5点中1点くらいかな。これまでに名作と言われる文学作品を読んだことのないような、ケータイ小説しか読まないのに、「趣味は読書」と言うような小中学生には、うける本だと思うけど、小説を読みなれている大人には、おススメできません。
なぜなら、簡単な文章で難しい言葉はほとんど無く、短時間で読める点はいいのですが、会話と地の文の運び方が幼稚だし、一文が長くはじめと終わりで文章が繋がらない、言葉の選び方が的確でなく理解しづらいなど、文章力に疑問点が多いから。高校の文芸部の文集にありそうなレベル。

たとえば、この文
『私は二人とは対照的に、ミサっていうんだ、と心の中で言った』
これは、死んだはずの娘が目を覚まし、驚いた両親が「ミサ」と叫び駆け寄ったという説明の後にくる文なのだけど、「対照的に」の意味が言葉足らずで伝わらないのです。
つまり、息をふき返した娘を見て慌てふためき、驚きの表情を見せる両親の様子は、外から見ても分かるのだけれど、心情までは分からないはずです。娘は自分が誰なのかも知らないのだから。それなのに、娘は記憶が無いのだけど、自分の名前を知らされて、冷静な態度でいるのは、慌てる両親と比べて対照的だと自分で客観的に見ている、ということになる。
要するに、普通に考えれば比較の対照は同じでないといけない。「慌てる両親と対照的に」の下に続くのは「落ち着いた私」であれば自然なのに、「両親の様子」と「心でつぶやいた言葉」で比べている。腕のある作家ならば、それほど問題点に思えないように上手く描くでしょう。でも「対照的に言った」などというおかしな表現をするので、文がうまく繋がらない、ということです。

ここは小説全体のクライマックスの部分なのに、細かいことが引っかかって、あと味すっきりせずに読み終わってしまったじゃないか。
私のように必要以上に詮索しすぎて楽しめない読者もいるのです。
追求せずに楽に読んだほうがいいですよ。そう言った意味でも、小中学生向きの本かも。



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