『KAGEROU』感想、と言うより批評

KAGEROU

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今さらコレの感想って。話題が古いですが、図書館でこれまでずっと貸し出し中だったのだから仕方ない。本は買うより借りる派。

そして、図書館で充分だった。この本の場合。
誰かがB級と言っていたが、確かにネット投稿サイトで読むようなレベルの小説だ。内容はおもしろかったけど、表現が稚拙で、必要以上に多い比喩が回りくどくて分かりにくい。「……」が多く会話だけで話しを進めるのは携帯小説レベル。
普通プロの小説家の書いた本は、登場人物のいる周りの風景や立ち位置などを頭に浮かばせながら読んでいくのだけれど、これは、背景がぼやっとしか浮かんでこない。描写不足なのだと思う。
また比喩表現か独特すぎて伝わらない。直喩なのに例えがボケててピンと来ない。
また、「!?」や「痛テテテ」とか「~くれぇ」など、ライトノベルでよく見る記述方法で、しかもこの台詞の主人公は41歳だというから驚きだ。年齢設定と言動のイメージが合わない。ラスト、一番間違えてはいけない人物の名前を誤植している。
これで大賞もらって2000万円なんて、ポプラ社なら誰でも大賞とれそうだね。

でも、不思議で非現実的な世界でありながら、人間の生と死についてまじめに考えさせられる、深みのある内容だった。
特にこの台詞。
『人を愛するということはその人のために生きることであり、同時に死ねることだ』
これは主人公の、と言うより作者の想いなのだろう。絢香と出会って、彼女の病気を知り、その病気も含めて一生愛し守っていきたいと誓った作者は、この主人公なのだろう。
また、91ページあたりからの台詞も印象的だった。
要約すると、人間の命は平等ではない。生きたくても生きられない人もいるし、自分で命を絶つ人もいる。病気で死ぬのは納得できても、なぜ自殺する人は非難されるのか。自殺志願者の気持ちは他人には分からない。ならば、死にたい人を楽に死なせてあげて、その肉体を希望する人に提供すればいいではないか。命のリサイクルだ。死んでいく人が家族にお金を残したいと願うのと同じだ。と。
ついつい、確かに……。と一瞬共感してしまった。だが今の日本の感覚として臓器売買は倫理的に非道理だと考えるのが当然だ。

『陰日向に咲く』は劇団ひとりらしい作品だった。コントの台本のような雰囲気もある。
では『KAGEROU』は水嶋ヒロらしいのか、と言うと、水嶋ヒロを知らないので何とも言えないが、後半あたりから作者の人柄やこの本を通じて訴えたいことがわかった気もする。
何が言いたいのか分からない作品も多い中、はっきりテーマがわかるのが、この作品の評価された部分なのかもしれない。
それと、主人公寄りの3人称で描かれているが、独白も多いのでいっそ一人称でいいんじゃないか、と思ったのだが、最後の最後で3人称にしないといけない理由がわかった。そこは上手いポイントだな、と。ネタばれなので詳しくは言いませんが。
複数のライターが手直ししたらしいですが、ご苦労様でしたね。話題作りとはいえ。
当然映画化されるでしょうね。私としては「世にも奇妙な物語」で充分だと思うけど。
タイトルの意味と英字にした理由がわからない。…なんとなく、でしょうか。
自分の事を作家と言ったり執筆活動と言うのは、何作も書いている人が言うことです。


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