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犬夜叉考察 ~かごめと桔梗~

kage

2011/07/21 (Thu)

かごめと桔梗。ふたりについて考えてみた。

心優しく美しい巫女、桔梗。霊力で妖怪退治をし、村人を救ってきた。ずっと一人で生きてきた犬夜叉は、そんな桔梗に惹かれ、初めての恋をした。
しかし、生きる死人として復活した桔梗は、全く異なる人格となって犬夜叉の前へ現れた。
犬夜叉への未練と憎しみにあふれ、かごめだけでなく犬夜叉までも殺そうとする、怨念の塊になってしまった。

8巻では、かごめの見ている前で自分から犬夜叉に抱きつきキスをして、かごめの顔色を窺いながら、犬夜叉を地獄へ連れ去ろうとしている。
13巻では、瘴気の崖へ落としかごめを溶かそうとしたが、間一髪で助けに来た犬夜叉に状況を聞かれると、「奈落がやった」とごまかし逃げ去った。
また、16巻では、自分のせいで奈落が妖力を増し犬夜叉が殺されかけたのに、生きていて良かったと犬夜叉を抱きしめている。
そして、18巻でも、自分が弱っている姿を犬夜叉に見せ、しおらしく抱きつき弱い女ぶって甘え、犬夜叉の気を引く。さらに奈落が自分に惚れていることをタイミングよく犬夜叉に告げ、激しい嫉妬心を沸かせている。
犬夜叉ばかりに執着して、唯一の肉親である楓を気にかけてやることもない。
ずるい女だ。魔性の女と言ってもいい。現実にこんな女がいたら、女子の間では大ひんしゅくだ。

桔梗は生前、犬夜叉に四魂の玉を使って人間にならないかと勧めている。
人間と半妖では寿命が違う。愛し合う二人が共に生きるために、玉を使って犬夜叉を人間にしようというのだ。
桔梗は「犬夜叉を人間にするために使うなら、四魂の玉は浄化され、おそらく消滅する」と、何の根拠もないのに決めつけ、犬夜叉をまんまとその気にさせたという訳だ。
もし約束の日が予定通り来たとして、四魂の玉に願をかけても犬夜叉は人間になれなかったし、玉は消滅しないだろう。そうなれば二人はどうしたのか。
「共に生きる」のが、なぜ半妖ではだめなのか。自分は年老いていく。なのに犬夜叉は若いままだ。それが気に食わなかったからだろう。願をかけるならば、自分が半妖になりたいと願えばいい。犬夜叉を人間にすることが「良い事」だと誰が決めたのか。
つまり、桔梗は自分の思い通りに犬夜叉を操りたい、ただの身勝手な女ではないのか。

その点、かごめは違った。人間だろうが半妖だろうが、かまわない。
犬夜叉だからこそ、愛している。
16巻で犬夜叉が妖怪化して暴れたとき、恐れるでもなくそばにいて、「どんな姿になっても、私を忘れてしまうほうが怖い」と。かごめは一度だって犬夜叉が人間になって欲しいなどと言ったことはない。
まぁでも、気に入らないと「おすわり」のお仕置きをする点は、かごめも身勝手女。

かごめの犬夜叉に対する気持ちが痛いほど読者に伝わったのは18巻。
かごめが現代から戻ってくると、犬夜叉と桔梗が抱き合っているのを目撃してしまう。そのときの二人の会話から、犬夜叉が今でも桔梗を大事に想っていると知ってしまう。「二人の絆は永遠のもの。私が入り込む隙はない」と、かごめは身を引く決意をする。だけど、現代に戻って思い悩んでみても、やっぱり犬夜叉が好き。戦国の犬夜叉に会いに戻り、「一緒にいていい?」と。犬夜叉の気持ちがまだ桔梗にあると知りながらも、それでも犬夜叉の笑顔がみたいから、そばにいると……。
テレサテンか! 不倫をやめられない愛人か! あなた本当に中学生ですか!
あぁ、この18巻は傑作中の傑作です。サブタイトルは『嫉妬』。犬夜叉が、かごめが、そして奈落までもが、人間独特の嫉妬心に感情的になっている。

この時は犬夜叉だって、これまでにないほど悩んでいます。彼を苦しめる理由は、二人のどちらが好きか、どちらと付き合いたいか、などという、よくある三角関係のお悩みではなく、自分のせいで命を落とした桔梗に対する負い目と責任。かごめには恋愛の修羅場だけでなく、殺される危険性まで負わせてしまった。
犬夜叉は二人とも本当に愛している。どちらか選ぶことはできない。
しかし犬夜叉は、桔梗を助けるために生きることを選び、もうかごめとは会わない、現代に戻って幸せに暮らして欲しいと願うことに決めた。それは桔梗が恋人だから、かごめを捨てる、という意味ではない。実際犬夜叉も、そうとは言っていない。その証拠に、この決心をかごめに言えないまま、うやむやにしてしまっている。
ただの優柔不断男と言ってしまえばそれまでだが、つまり桔梗を選ぶのは男としての責任からで、その実かごめとは分かれたくない、というのが本音である。
「俺は桔梗といく」これをかごめに言ってしまえば、本当に別れになってしまう。だから言えない。もう会わないほうがいいと言うのは、犬夜叉なりのかごめの気持ちを優先した優しさ。

不倫のパターンと同じだ。男はいつまでも、うじうじずるずる。誰かのためを思って、と言いながら、結局自分では決められない。恋愛に関しては男より女が一枚上手だ。
闘いの中では勇敢で男らしい犬夜叉だが、男女関係については、まるっきり子どもなのだ。そんな犬夜叉だからこそ、かごめも桔梗も愛して止まないのだろう。
かごめは現代にいれば普通の中学生で、彼氏と一緒に下校したり、ハンバーガーを食べたりの普通の恋愛を楽しんでもいいはずだった。だがしかし、初恋だと言うのに、テレサテンの世界の重く危険な愛憎劇を余儀なくされてしまった。悲恋と言ってもいい。
それなのに、かごめからは暗い空気は感じられない。犬夜叉との関係も自分ひとりで考え結論を出し、相手の幸せまでも願う。
もう、お手上げです。かごめ姐さん。

悲恋と言うならば、桔梗のほうじゃないか、と思う人もいるだろう。でも、桔梗と犬夜叉だって二人で愛を育んだ日々があったはず。それで充分幸せじゃないか。アニメ一期では抱き合ったりキスしたりしてたし。いつまでも犬夜叉に執着しないで、思い出を大切に成仏したほうが、自分の怖ろしい部分を愛する人にさらけ出さなくて済むのでは。
「桔梗がかわいそう」と思うのは、下に見ているからだ。かごめも言っていた。桔梗と私は同等だと。

もし、これが現実の話だとしたら、と考えてみる。
自分が死んだ後、恋人が自分の生まれ変わりを愛していたとしたら。
私なら、こんな嬉しいことはない。
生まれ変わり=分身だと考えると、また自分を愛してくれている、そう考えられないだろうか。
桔梗もおそらく、「かごめは私」と思うようになったのかもしれない。初めは殺したいほど邪魔な相手だったかごめを、20巻の黒巫女・椿の回では少しかごめを認めたような発言をしている。「かごめを」と言うより「かごめの霊力を」なのかもしれないが。
かごめの存在を認め始めたのは事実だろう。物語の終盤には、嫉妬心は失せているように思える。32巻の頃には嫉妬しているのはかごめのほう。なのに桔梗は自分の矢をかごめに渡すように犬夜叉に託したり協力的だ。わだかまりは消えたようにも見える。
人は皆、死に際には、「いい人だった」と思われて死んでいきたいもの。桔梗は自分の死期を察し、最後の力を奈落を滅するために使おうと覚悟したのかもしれない。愛する犬夜叉には自分の転生であるかごめと、これからは共に生きて欲しい。
そんな本来の優しい巫女としての慈愛の心を思い出し、本人も納得して成仏し消えていく際には、かごめに優しい言葉を残した。うそ偽りない深い愛情だったはず。
美しい最期です。

犬夜叉は8巻でかごめに「かごめはかごめだ。お前のかわりはいねえ」と言っています。
周りの人がかごめは桔梗の生まれ変わりと信じていても、犬夜叉はそうは信じていない様子。どうでもいいことなのかも。そこにこだわるのは、人間だけなのかも。
考えてみれば、人間より半妖の寿命のほうが、ずーっと長い。ならば、一度愛した人が死んでしまって、その何十年後また別の人を好きになったとしても、ちっとも構わないはずだ。犬夜叉にとって桔梗は過去に愛した女。
最期の決戦で「集まったか。仲間とやら、くだらん連中が」と言う奈落に犬夜叉は、「誰ひとり欠けちゃいないぜ」と言っている。桔梗は仲間じゃなかったのか?その時点で犬夜叉の記憶にすら消えてしまっている。

だいたい、こんな話をする以前に、かごめと犬夜叉はいつから付き合い始めたのか疑問。はっきり「好きです。付き合いましょう」的な描写は何もなかったと思うが。いつの間にやら、読者の知らないうちにそういう仲になっていた。そこが現代っ子のかごめ。ノリで付き合えてしまう。北条くんとデートしたりと空気は読めない御様子。
犬夜叉の態度が気に入らなければ「おすわり」攻撃。犬夜叉は手も足もでない。結局一番のヤキモチ妬きで独占欲が強いのはかごめ。
それに対して桔梗は昔の人だから、恋には古風で一途。情念に燃えるタイプ。
性格は違っても元々は同じ女。生まれ変わってもまた同じ人を愛するなんて、どっかの歌にありそうなロマンチックな話で、犬夜叉も男冥利に尽きると、さぞかし満足でしょう。
犬夜叉が本当に長生きなら、500年後のかごめが生まれた時代にも現れて欲しいものです。すっかり成人しておじさんになった犬夜叉に、現代のかごめが恋をするかは、わかりませんけどね。




[追記]

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実在の人物でない漫画キャラの性格分析を、自分のブログでどう書こうと、誰に遠慮することはありません。一人が否定的なコメントをすれば、もう一人、また一人と、乗っかってくる人が現れるのは、ネットの中ではよくあることですが、だんだんエスカレートしてただの悪態になれば手におえません。
『犬夜叉』は他の少年漫画と比べ台詞が少なく、冗長な説明もありません。何よりも三角関係についての犬夜叉の心奥や、他の人物の肝心な場面での内心は描かれていません。それは読者が自由に解釈してOKという作者のメッセージだと受け取っていいと思っています。

それと、匿名で私個人を批判して逃げ去るのもやめてください。私に不満をぶつけたい人は、堂々とご自分のURLかアドレスを添えてください。
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